【ポケモン】あなたと過ごす最後の日【LEGENDSアルセウス】
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:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:11:35.04 ID:tgweQ+Xjo
「あたしは確かに、自分から望んで『元の世界』を去りました。まさか自分が時空の裂け目に飲み込まれるなんて思ってなかったけど、確かに望んでこの世界に来たんです」
「……」
「あたしがもといた世界では……あたしなんて、特別でもなんでもない、ただの女の子でした。人より優れたところなんて何もなくて、友達もいなくて……つらい思いや寂しい思いもたくさんしました。どうしてこんな世界に生まれてきたんだろうって、いつも思ってた気がします」
以下略
AAS
10
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:12:42.47 ID:tgweQ+Xjo
「……本当に……帰っちゃうの」
「……」
「そんなの、わたし信じられない……嫌だよ……」
以下略
AAS
11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:13:34.85 ID:tgweQ+Xjo
「ショウさんは……わたし以外の誰かに、相談したの?」
「……」
「い、いいんだよ、言っても。怒ったりしないから」
以下略
AAS
12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:14:22.95 ID:tgweQ+Xjo
核心に触れる質問に、ショウはしばらく答えなかった。
寄せては返す波の音だけがふたりを包む。
カイは、腕の中にいる少女が、自分を傷つけてしまうことを恐れて何も言えないのだということも十分理解していた。
以下略
AAS
13
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:15:40.28 ID:tgweQ+Xjo
見たこともない世界。自分の常識が通じない時代。
はじまりの浜に落ち、あれよあれよと調査隊に入ることが決まってしまったそのときからずっと、ショウには元の世界のことが引っ掛かっていた。
家族を残してきたことへの後悔。もう元の世界に戻れないのではないかという不安。孤独感にさいなまれ、満足に眠ることもできなかったいくつもの夜。
以下略
AAS
14
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:16:11.47 ID:tgweQ+Xjo
ショウの涙を見るのは初めてだった。
優しく抱きしめても、髪を撫でても、ショウの不安を取り除くことはできない。
初めてできた大切な友達が、心を預けられる想い人がこんなにも苦しんでいるのに、自分にできることはないのか。
以下略
AAS
15
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:17:04.47 ID:tgweQ+Xjo
いつか、こんな日が来てしまうのではないかと思っていた。
空から落ちてきた、時空の迷い人。
ショウがいきなりこの世界に現れたのと同じように、この世界から音もなくすうっと消えてしまう日が、いつかは来るのではないかと……カイも心のどこかで思っていた。
以下略
AAS
16
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:17:42.16 ID:tgweQ+Xjo
泣き疲れてしまったふたりは、抱きしめ合った体勢のまま、砂浜にぽとりと倒れこんだ。
空には星々が瞬き、どこまでも、どこまでも広がっていた。
以下略
AAS
17
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:18:22.18 ID:tgweQ+Xjo
「……わたしね、お母さんの顔は知らないの。物心つく前に亡くなっちゃったから」
「……」
「でも……ショウさんには、まだいるんだよね。お母さんが……大切な家族が、元の世界にいるんだよね」
以下略
AAS
18
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2022/02/17(木) 13:19:51.90 ID:tgweQ+Xjo
カイは身体を起こして座り直し、ショウを抱き上げて、自分の膝の上に乗せた。
頭巾を外し、前髪を流す。
こうして見ると……ショウはやはり、どうしようもなく普通の女の子だった。
以下略
AAS
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