【ポケモン】あなたと過ごす最後の日【LEGENDSアルセウス】
1- 20
13:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/17(木) 13:15:40.28 ID:tgweQ+Xjo
見たこともない世界。自分の常識が通じない時代。

はじまりの浜に落ち、あれよあれよと調査隊に入ることが決まってしまったそのときからずっと、ショウには元の世界のことが引っ掛かっていた。

家族を残してきたことへの後悔。もう元の世界に戻れないのではないかという不安。孤独感にさいなまれ、満足に眠ることもできなかったいくつもの夜。

これは夢だ。ぐっすり眠って、朝起きたらきっと、すべてがもとに戻っている……最初の頃はそう願いながら夜を明かしていた。

だが様々な人と出会い、多くのポケモンたちと触れ合い……この世界はいつしかショウにとって、大切なものになりすぎてしまった。

自分を必要としてくれる人が、自分についてきてくれるポケモンたちがたくさんいる世界。心のすべてを預けてもいいと、そう思える友達にも出会えた世界。ショウはこの世界のため、たくさんの努力を積み重ねてきた。


もう、いいのかもしれない。すべてを忘れて、この時代に生きる人となってもいいのかもしれない。

何度もそう思ってきたが……それでも心のどこかに、元の世界のことを完全に忘れてしまうことを許さない自分がいた。

「自分はこの時代の人間ではない」という、純然たる事実。目を閉じればまだおぼろげに思い出せる家族の顔。

それらが、「元の世界に戻らなければいけない」という気持ちを失ってしまうことへの恐怖をショウに抱かせた。

相反するふたつの気持ちに押しつぶされ、もはやショウの心は壊れてしまいかねない状態だった。


「カイさん……おしえて……おしえてよ……っ」

「……」


泣きじゃくるショウを前にしてようやく、カイは自分がショウを苦しめる原因のひとつに……ショウにとっての「最後の未練」になっていたことに気付いた。気付いてしまった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
26Res/26.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice