ドラ「のび太くんが」のび「ドラえもんが」「「消えた!!?」」
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9: ◆86inwKqtElvs[saga]
2022/02/10(木) 21:34:12.31 ID:7TpWqrtf0

「やあ。僕はこの組織のサブリーダーをしている者だ」

 のび太は青年と対面していた。
 20代ぐらいに見える。
 しかしそれ以上に見覚えがある。

「……出木杉くん!?」

「やっぱり覚えていてくれたんだね。嬉しいよ」

 サブリーダーと名乗り、青年になった出木杉と出会い、ようやくホッとした。
 知っている人間がいる。それだけで、人は安心できる。

「出木杉くんも、タイムマシンを知ったんだね」

「小学生の時、一度乗せてもらったね。あの体験がなければ、ボクはきっと、今の人生を生きていないと思うんだ」

「……のび太くん」

 出木杉君は、真剣な目で、少年ののび太を見ていた。

「今の、大人のキミと会ってみないかい?」

「え……会うのはいいけど」

「何度か見たことのあるのは、きっと静香くんを嫁にして、子供が生まれて、家族の大黒柱になったのび太くんだろう?」

 出木杉は厳しい目をしたままだった。

「ここにいるのび太くんは、そうじゃない未来を歩んでしまったんだ。それは子供のキミにはショックかもしれないけど、でも……のび太くんの親友として、ボクはキミたち二人は出会うべきだとも思う」

「……ボクに、何が、あったの?」

 当然の質問に、出木杉は――

「…………」

 頭脳明晰な出木杉が、何も答えようとはしなかった。

「目を閉じて、このままの世界に返すことも出来る」

「何も知らないまま、ドラえもんの道具で、夢のような時間を過ごしていけばいい」

「それでもいいんだ。ボクはそれでよかったと、のび太くんにも言ったんだよ」

 だんだんと、当事者以外の事情が混ざって、部外者である子供ののび太には伝わらなくなってくる。

 だけど、わかってきたこともある。

 未来のボクに、問題が起きている。
 
 今は部外者だから、何も知らないから、何もわからないまま、置いてきぼりにされている。

 多分、ボクはいらない。子供の力なんて大したことはなくて、ボクがいなくてもきっと何とかなるんだ。

 だけどボクはここにいる。ここにいるなら、問題の前にいるなら……問題に向かわなくちゃ。

 先生も、ママも、ドラえもんも、みんながみんな言ってたこと。

 宿題は、先に片付けるものだって、みんなが言ってた。



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