ドラ「のび太くんが」のび「ドラえもんが」「「消えた!!?」」
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4: ◆86inwKqtElvs[saga]
2022/02/10(木) 21:30:21.05 ID:7TpWqrtf0

シン、となった机の前で、ドラえもんは立ち尽くしていた。

(逃げろ、って……?)

 だが今優先して考えないといけないのは、タイムマシンが、ひいては亜空間に繋がる入口が理由もわからずに消えてなくなったことだ。
 時間、空間に関するあらゆる道具を取り出し、点検する。

「あ、え、え、え、え、えええええええええ!!?」

 全滅だった。タイムテレビなど時空間の情報を受信するタイプの道具はかろうじて、過去は見ることは出来たが、未来は全く見えなくなっていた。
 どこでもドアのように時間が直接関係していないタイプの道具もダメだった。時間、空間において、何らかのノイズが発生している。
 それも大規模なノイズが、おそらくここより未来のどこかで。

(……時空乱流?)

 真っ先に思い付いた可能性だったが、しかしそれならば空間のみに作用するどこでもドアまで壊れる理屈にならない。亜空間と今ここにいる空間は直接関係がないからだ。
 四次元ポケットの機能が生きているのは幸いだった。四次元ポケットは四次元空間に繋げる道具だが、このノイズはこの空間から四次元を行き来する分には関係ないらしかった。出入り口が極めて限定的だからか、それともほかの理由があるのか、それはよくわからない。

(……ドラミは逃げて、と言ってたけど)

 移動系の道具が全滅しているのだから逃げようがなかった。さらに言うなら、逃げてとは、一体何から逃げるのだろう?

「ドラちゃーん!」

「ん? しずかちゃん!?」

 ずいぶん焦った声に聞こえた。慌てて玄関まで転がるように(というか転がって落ちた)走り、扉を開ける。

「どうしたの!?」

「のび太さんが消えちゃったの!!」

「きき、消えたぁ!?」

 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう……!

「ドラちゃん! 落ち着いて! ねえ、一体何があったの!?」

「え、えっと、ボクも良くわからないんだ」

「わからない?」

「うん。実は……」

 ドラミからの連絡、それから亜空間に関する道具が使えなくなっていることを説明したドラえもんは、自分も説明することで落ち着きを取り戻したようで、「こうしちゃいられない」とタケコプターを取り出した。

「しずかちゃん、のび太君が消えたのはどこ!?」

「学校の玄関よ!」

 そして二人はタケコプターで一直線に、学校まで飛んで行った。




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 何も感じない。寒くも暑くもない。
 あえて言うなら、耳を手で閉じた時に聞こえる轟々という音が聞こえているような気がする。水の中でさらに泡の中に閉じ込められたような、曖昧さで世界を遮断したような感覚。
 視界は白かった。どっちが上でどっちが下で、自分はどこにいるんだろう?

 そう、野比のび太は、思考とすら言えない揺らめきの中で、夢の中のようにふわりふわりと存在が拡散していくのを感じていた。


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