8:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/08(火) 22:46:32.07 ID:gAjlLna3O
「さっきは本当に申し訳なかった」
「まったく、お父さんには困ったものだよ」
夕食の際に改めて彼女に父親を紹介されて、お父さんは深々と頭を下げて謝罪した。
彼女はというと、予め作っておいたらしいカレーを温め直してかき混ぜながら説教した。
ていうか、カレーって。思い出させるなよ。
「娘の部屋に入る時にノックしないから」
「まさか友達が居るとは思わなくて……」
そう言えば家に上がる時にしっかり私の靴を靴箱にしまってたな。それなら仕方がない。
この女が全部悪い。お父さんは無罪潔白だ。
「ほら謝って。もっとちゃんと土下座して」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「いいですから! 顔をあげてください!!」
床に額を擦りつけるお仕事でくたくたのサラリーマンは見るに耐えなかった。可哀想だ。
私が赦しを与えるとお父さんはほっとして。
「とりあえず遠慮せずに寛いでいってくれ」
「ありがとうございます」
彼女の面影をお父さんに感じて、私はなんとなく好感を持った。きっと優しい人だろう。
そのせいで彼女は我儘放題に育ったようだ。
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