臥煙伊豆子「おいで。君の意思で、私の隣に」
1- 20
8:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/03(木) 23:46:34.51 ID:GA97p571O
「結果的に、私は挫折した。あらゆることを知った私は理解した。やはり私は姉にはなれないし、姉を超えることは出来ない。乗り越えられない。乗り越えようとした。姉には逆立ちしても出来ないことを成した。死体に付喪神を憑依させ、そして、ルールを破った」

長い長いエンドロール。臥煙さんは、語る。

「ルールを破ってみて私は理解した。姉もルールを破りこの世を去った。生命を生み出すことへの代償、対価。駿河を産んだ姉が支払ったのは自らの命で、私が負ったのは呪い。それを知って理解してなお、逃れられない」
「辛い、ですか……?」
「そうだね。良い映画だった。思わず泣いてしまうほどに。目を逸らしてくれるかい?」

正面を向くとエンドロールが終わる。隣から聞こえる啜り泣きがただ唯一の拍手だった。

「こよみん」
「なんですか?」
「なんでも知っている私の知る限り君は泣かない。それは何故かな?」

恐らく知っているだろう歴史を、口にする。

「泣いても何も変わりませんから」
「そうだね。だけど君が涙を流せば周りの人間の気持ちは揺れるだろう。今まさに、私の涙を見て見ぬふりをする君のように」

果たして臥煙さんは本当に泣いているのだろうか。目撃したわけではないので確信はないが、鼻声なので少なくとも潤んでいる筈だ。

「どうして人は泣くんですかね」
「ある領域に到達した知的生命体は、その知性から生み出される思考の情報量が処理しきれなくなる。その結果、感情が表れるのさ」

ならばフリーズしたPCは、泣いているのだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
12Res/12.20 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice