臥煙伊豆子「おいで。君の意思で、私の隣に」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2022/02/03(木) 23:42:57.56 ID:GA97p571O
「臥煙さん。訊いてもいいですか?」
「どうして何でも知りたいかって?」

何でも知っているお姉さんに質問するのは難しい。何を訊いても答えが用意されている。

「知らないことを知りたいからさ」
「でもなんでも知ってるって……」
「矛盾を指摘するなんて生意気だ」

叱られた。しゅんとする僕の手を撫でつつ。

「私には良く出来た姉が居てね。何をしてもその姉には敵わなかった。姉はなんでも出来たしそれこそなんでも理解した。とはいえ、今の私と違ってなんでも知っていたわけじゃない。そこに矛盾は生じない。何故かって? 理解することと知ることは違うからだ。同じく、知ることと理解することもまるで違う」

映画のクライマックスよりも臥煙さんの独白のほうが僕にとっては興味深く聴き入った。

「私は姉のようになりたかった。姉を目標に姉を目指した。だけど気づいた。私は姉にはなれない。当たり前だよね。私と姉は違う人間なんだから。そこに気づいた私はあらゆることを知ろうとした。そこに答えがあると考えたからだ。あらゆる出来事、歴史、思想。それを知れば姉を再現することはおろか、凌駕することも出来ると思った。愚かにもね」

映画が終わった。エンドロールでも、語る。


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