9:名無しNIPPER[saga]
2022/01/18(火) 22:45:06.84 ID:pAViFCvW0
だれか自分を見つけてくれ。
その一心で放った、泣き声のような雄たけびは、魔法の炎によって迎えられた。
瞬く間に広がる炎は、白虎兵のみを綺麗に焼き払う。
焼死していく白虎兵達を背景に、彼は確かに、【エース】の姿を見た。
特別な意味のある赤いマント。戦場にあって僅かに煤のついた白い肌。魔法のような明るい金髪に、意志の強い翡翠色の瞳。
「ここだ!」
エースは彼をしかと見つめる。
「僕は、ここだ」
彼は全身から力が抜けていくのを感じていた。
若い朱雀の兵――ただの一般兵である彼は、ここに任務を全うしたのだ。
うめき声をあげながら、彼はチチリの翼に頭を乗せる。息が苦しい。体中が痛む。
おまけにもう、なにも見えやしない。
彼は最後の力を振り絞って、エースに拳を向けた。
エースはすぐさま彼に駆け寄り、その拳を両手で包み込む。
「……イザナ」
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