8:名無しNIPPER[saga]
2022/01/18(火) 22:44:02.06 ID:pAViFCvW0
自分の背後では、足音が二つ聞こえる。兵隊の足音だ。
「チチリ!」
――足音が近づいてくる。
「――はっ」
彼はチチリに向けて、回復魔法を使った。
淡い光は眩く彼の手のひらを包み込み……集まった光は力なく消滅した。
クリスタルジャマー。
今、朱雀兵は誰も魔法が使えない。
白虎の協定違反の兵器によって、朱雀は一方的に白虎に追い詰められているのだ。
「く……そお!」
彼はそのことをわかっていても、何度も何度もチチリに回復魔法を使おうとする。
最後の力を振り絞って。ただ、必死に。
「くそ、チチリ、チチリ、頼む……」
背後から白虎兵共の足音が近づいてくる。
見なくても彼はわかった。
自分は、ここで――。
「エース……」
カシャン、と銃が二組構えられる音。
「エース……!」
カチリ、と引き金に指のかかる音。
「エースーーーーー!」
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