7:名無しNIPPER[saga]
2022/01/07(金) 02:14:44.97 ID:XISgh4q3O
にちか「マッチ……まだまだあるんだよ、ほら。だから……」
にちかは残りのすべてのマッチの束を取り出して火をつけました。
お父さんがいなくならないように。あたたかいままで、いられるように。
マッチの光は真昼の太陽のそれよりも明るくなりました。
より明るくなると、お父さんはにちかを優しく抱きしめました。
お父さんは胸に顔を埋めるにちかに何かを囁きます。
にちか「……そうなの?」
二人とも笑顔です。
寒さも悩みも苦しみも、そこにはありませんでした。
朝になると、皺だらけになった服を着た女の子が、燃え滓に囲まれながら動かなくなっていました。
もう動きません。もう動けません。
でも、それだから、女の子の笑顔も二度と崩れることはないのです。
女の子の前をやや年のいった男性が通りがかりました。
通り過ぎることはなく、踏み止まるように女の子の方を向いてしゃがみます。
そして、静かに両手を合わせました。
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