馬場このみ「シクラメンの花の香」【ミリマスSS】
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7: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2022/01/06(木) 22:58:32.03 ID:dy8vOWdb0
調理場で作業している大将が、カウンター越しから器を置いた。
「あら、美味しそう」
落花生は殻付きのまま茹でてザルで水気を切ってから、そのまま豪快に鉢に盛られている。大将曰く、生の落花生が出回るのはそろそろ終わりかな、とのことだ。落花生独特の香りが、湯気と一緒に漂う。
落花生を一つ手に取る。まだ十分に熱を持っていて、しっかり握ると熱くて持てないかもしれないほどだ。歯を立てて殻を割り、中身を出す。一粒取り出して口に放り込むと、ホクホクした食感と、落花生らしい香ばしさ、甘みが広がる。それからビールを一口飲めば、得も言われぬ快感だ。
「これは……ちょっと悪魔的やね」
「うん。ええな、これは」
少しアルコールも回って、口調もほぐれてくる。次第に地元山口の方言になるのが、その証拠だ。
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