悪役令嬢「あんたはあたしみたいだね」腹黒王子「あはは。キミが僕なんだよ」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2022/01/02(日) 22:46:19.72 ID:nMXYXkpFO
「キミはさ、綺麗な顔してる癖に僕たちのことをを遠巻きに眺めるだけで近づいて来なかったよね。そういう俯瞰で客観的に物事を見ているところが気に入らなかったんだよね」
「あたしはあんたのことをもっと良い奴だと思ってたケド、見る目がなかったみたいね」
「僕は良い奴だよ。その証拠に、キミにとってより良い提案をしてあげようじゃないか」
いくら払い除けてもしつこくほっぺをつついてくる王子を睨みみつけるあたしに、底意地が悪そうな顔をしてこんな提案をしてきた。
「僕と付き合えば、キミが大好きなあいつのことをもっと近くで眺めることが出来るよ」
「……正気?」
「正気もなにもキミにはもう他に選択肢なんてないんだよね。嫌だけど、ごめんだけど」
嫌だ。王子もあたしなんかと付き合うのは嫌らしい。それでも選択肢がない。それはたぶんあたしにとっても王子にとってもそうだ。
「あんたは目を光らせていたいだけでしょ」
「そうだね。キミがあいつを傷つけないか常に目を光らせておきたい。何故だと思う?」
「性格が悪いから」
「違うよ。僕は性格が良い。だから友達のために嫌々キミと付き合う選択を取れるんだ」
倒錯して、歪みきってやがる。たぶんここでビンタしてもヘラヘラ微笑うのだろう。目だけは笑わずに、燃えるような嫉妬を宿して。
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