悪役令嬢「あんたはあたしみたいだね」腹黒王子「あはは。キミが僕なんだよ」
1- 20
6:名無しNIPPER[sage saga]
2022/01/02(日) 22:38:12.89 ID:nMXYXkpFO
「あ、居た」
「へ?」

しばらくぼけっと店内で余韻に浸っていると家来がやってきた。恐らくお姉さんが行けと命じたのだろう。敵に塩を送る味な真似を。

「ねーちゃんからなんか聞いた?」
「うん……いろいろ聞いた」
「そうか」

向かいの席に座った家来はそれっきり黙ってしまう。耳が赤い。照れているらしい。なんとなく、ここは揶揄うべきだと判断した。

「愛されてるね」
「……うるさい」
「お姉さんのこと、好き?」
「別に、ふつー」

ああ、好きなんだろうなと思う。もちろん、姉が抱いているような倒錯した想いとは異なるだろうが、それでも姉として家族として大切なのだろう。良いね。胸が温かくなった。

「あ、そう言えば」
「なんだよ、どうした?」

和んでいる場合ではない。せっかくこうして家来と話す機会を得られたのだから、前々から訊いてみたかったことをぶつけてみよう。

「もしかしていじめられてたりする?」
「は?」
「ほら、うちのクラスの王子サマに」

別に普段、そんな素振りは見受けられない。しかし、もしかしたら見えないところであの腹黒王子に折檻されているかも知れない。「僕をほったらかしにして女と喋った罰だ」とかなんとか難癖をつけられて。きゃー。

「きゃー!」
「女子って普段、そんな妄想してんのか」
「ぎゃあー!?」

薄汚い欲望が口から漏れていたらしく家来に呆れられて悲鳴を上げると、声を忍ばせて彼は肩を揺らした。くっそ。かっけーじゃん。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
25Res/26.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice