【ミリマスSS】あわてんぼうのサンタクロース【箱崎星梨花、三浦あずさ】
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9: ◆p1Hb2U6W8I[sage saga]
2021/12/24(金) 21:47:16.86 ID:J1wXT9tF0
「それに、今回は心強い味方がついていますしね」

眩しい陽の光に目を細めながら劇場の方を見やると、フワフワのツインテールを揺らしながら、一人の少女が駆け寄ってくるのが見えた。

「プロデューサーさん!あずささん!」

駆け寄ってくる星梨花の目は、純粋で、それでいて真剣だった。

「わたし・・・!」

「あの、施設の男の子のために何かしてあげたいんだろ?」

「えっ!?」

星梨花が言う前に先んじると、びっくりして目を見開いていた。

「どうして分かったんですか!?プロデューサーさん、すごいです!」

「そりゃ、なぁ・・・」

目をキラキラと輝かせる星梨花の頭をそっと優しく撫でてやる。
あんな表情で、こんなタイミングで言ってくるんだから、さすがに分かりやすすぎる。
そんな分かりやすさが、どうしようもなく愛おしかった。

「俺は、星梨花のプロデューサーだから」

「ですね・・・えへへ♪」

心地良さそうに目を細める星梨花を見ていると、冬の冷たい風がもたらす寒さを忘れるほど心が温まってくる。
あずささんも、そんな星梨花をニコニコと眺めていた。

「星梨花は、どうしたらいいと思う?」

「はい!たしかに、あの男の子に悲しい事情があるのはわかります。それでも・・・」

星梨花は再び真剣な顔に戻して、俺の目を真っすぐ見つめる。

「クリスマスを笑顔で迎えられないなんて、そんなのダメです!」

その無垢で単純な理屈は、確かに真理をついていた。
そりゃそうだ。
世界中が笑顔で溢れる日に、ひとりぼっちなんて、そんなの寂しいに決まってるよな。

「・・・よし、それじゃ、クリスマスまでに笑顔を届けるとするか」

「はい!」

「はい♪」

星梨花の元気いっぱいな返事と、あずささんのおっとりとした返事が重なって、俺の背中を押してくれる。

「クリスマスイブの日はライブがあってさすがに動けないから、施設を訪問するなら23日かな?レッスンはあるけど、夕方からは空いてるし」

「ですね!あっ、でも・・・」

星梨花は俺の提案に最初は目を輝かせていたが、すぐにしゅんとした顔を見せる。

「わたし、夜はちょっと・・・」

そうか、星梨花の家には門限があるんだったか。

「大丈夫だよ。俺の方から、お父さんにお願いしてみるから」

それが、プロデューサーの務めだしな。

「ほんとですか!?ありがとうございます♪」

再び目を輝かせる星梨花。
あのお父さんを説得するのは骨が折れそうだが、星梨花のためにも頑張らねば。

「あずささん!わたし、トナカイさんになってみたいです!」

「あら〜、可愛いトナカイさんになりそうね〜♪」

あずささんと星梨花の特徴的な癖っ毛が、北風に吹かれてのんびりと揺れている。
なんだか、年の離れた姉妹みたいだな。
なんて思っていると、自然と俺の顔も綻んでいくのを感じた。


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