87: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 14:03:21.54 ID:86/EQe0g0
「あの……」
「いらっしゃ……」
来客に挨拶しようとして、私は絶句した。
うちの店はお父さんが「バーベナも店頭に飾れるぞ」と自慢するほどに入り口が高い。
その入り口を、もしかしたら頭がぶつかってしまうんじやないかと心配になりそうなほど大きな男の人が入ってきたのだ。
優に190センチはあるであろうその男の人は、お世辞にも人相がいいとは言えない顔をしており、白目の多い瞳は眼光鋭く私を見据えている。
「な、なに……?」
つい、おおよそ接客とは思えない口調で言葉を発した私を、その男の人は咎めるでもなく言葉を続けた。
「急ぎで花束を、作っていただけますか」
「……っ、は、はい」
そうだ。お客さんだ。
そのよくわからない迫力に圧倒されてしまったが、ここはお店で私は店員。そしてこの男の人はお客さんなのだ。
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