88: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 14:04:02.36 ID:86/EQe0g0
「えと、ご贈用答ですか?」
「……」
「あの……?」
「……失礼ですが、アイドルにご興味は?」
「はあ?」
思いもかけない時、思いもかけない場所で、初対面の人にいきなり核心を突かれる質問をされ、私は狼狽する。
「私、こういう者です」
男の人は腰をかがめ、両手で名刺を持って私に差し出す。
名刺の小ささと男の人の大きさの差で遠近感が狂い、名刺に手が伸びない。
「……せめて名刺だけでも」
いや、名刺を受け取らないわけではない。
ただなんというか……
「……またやって来ます」
男の人は、カウンターに名刺を置いた。
そして去って行った。
「アイドル……って……あれ? そういえば花束は? 作らなくていいの!? ね、ねえ!!」
男の人はもういなかった。
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