37: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:25:31.21 ID:86/EQe0g0
「凛さんは、よいお花屋さんになるかも知れませんね〜」
「花屋になる……か」
ふと、私は口ごもる。
そうなんだろうか。
そうなるんだろうか。
恋とか結婚とかはさておき、私は将来花屋を継ぐことになるんだろうか。
もちろん花は好きだ。
商売の稼業とはいえ、花に囲まれて育ったことは幸せだと思う。
けれどそれが自分のやりたいことなんだろうか、一生を賭けた夢なんだろうか。
私はいまだに、両親の言う自分が真剣にやりたいことを、まだ見つけられていないのだ。
「ごめんなさい〜」
「え?」
唐突に朋花が頭を下げる。
「人には自分の有り様をあれこれと注文を付けるくせに、凛さんの将来を今私は勝手に決めつけてしまいましたね〜」
まったく朋花は人の感情に対して機敏だ。
私の将来に対する漠とした不安を、私よりも真剣に受け取ってくれたのだ。
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