55:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 22:34:17.49 ID:u50g9+A20
「ほら、ぼーっとしてる暇ないよ。早く次の準備に。出番がしばらくない子は邪魔だから控え室に言って」
その声に、我に返った子たちはバタバタと動き出す。
プロデューサーが私に気づいた。
「お疲れ様、奏」
「どう、悪くなかったでしょ」
「うん、当たり前だろ」
そう言ってくれるくせに、ソロでは歌わせてはくれないなんて。プロデューサーはイケずだ。
プロデューサーの視線が私から外れた。その視線の方を向くと、文香だった。
同じ舞台に文香も立っていた。立ち位置から逆側だから、姿は見えなかったけど。
文香は、私たちに気づいていなかった。
「文香」
プロデューサーが一度声をかけても、彼女は立ち止まらなかった。
プロデューサーの表情に、かすかな陰りが浮かんだ。
「奏、悪い」
そういうと、プロデューサーは文香の元へかけていく。
私も不安に思って、プロデューサーの後を追った。
先ほどより大きな声でプロデューサーが声をかけて、文香はやっと私たちに気づいた。
振り返った文香の表情はこわばっていたが、誰か気づいて小さく息をついた。
「プロデューサー、それに……」
「お疲れ様、文香」
「はい……奏さんも……」
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