49:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 22:23:15.87 ID:u50g9+A20
フレちゃんの言っていた通りだった。
そこで少し待っていると、廊下の向こうのレッスンルームが開いて、何人かのアイドルが出てくる。そこに、文香の姿があった。
私が軽く手を振ってみると、文香はこちらに気付いた。少し速足で、文香は私たちの傍にきた。
「お疲れ様です。フレデリカさん、奏さん」
「お疲れ〜フミカちゃん」
「お疲れ様」
「お二人も……レッスン終わりですか」
「ノンノン。フレデリカはこれからなのですよ。ムシューは……あれ、そういえばどうなの奏ちゃん?」
「私は終わったところ。ここでのんびりしてたらフレちゃんと会って、少し話をね」
「色々話しちゃったー。社会情勢とか、地球温暖化とか!」
「お勧めのリップについてじゃなかったかしら」
「似たよーなものだよ」
そんなに似てるとは思えないけど、フレちゃんの中ではそうらしい。フレちゃんがそういうなら、きっとそうなのだろう。
文香は口元に手を添えながらクスリと笑った。
「それはきっと、有意義な話し合いだったんですね」
「さっすがフミカちゃん、分かってる〜……っと」
フレちゃんは廊下の向こうに目を戻す。先ほど文香が出てきたスタジオに、別のアイドルの人が入っていった。
いつも一緒の仲良しの三人が和気あいあいと話し合っていたが、フレちゃんに気づいて手を振ってくる。フレちゃんも、笑顔で手を振り返した。
「アタシ、レッスン行かなきゃだから、じゃあね、二人ともー。サヨナラ〜」
フレちゃんはさっと立ち上がると、買ったばっかのペットボトルを手に持ってあっというまにスタジオに吸い込まれていった。あのスポーツドリンク、私のなんだけど。
そのことに対する抗議は、あとでメッセージでたっぷりしておこう。
残された文香を私は見上げた。
「ねえ、文香。この後時間ある?」
「ありますが……」
「それなら、どう。お茶していかない?」
文香は、もちろん頷いてくれた。
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