48:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 22:21:27.91 ID:u50g9+A20
「ユッキーもニナちゃんも頑張ってるけど、フミカちゃんなんか、特に凄いんだよ?」
「文香が?」
「フミカちゃん、頑張り屋さんなのは知ってるけど、レッスン中の気迫凄いもん。昨日だって居残りでレッスンしてたみたいだし」
初耳だった。そこまで文香が真剣に取り組んでいるなんて。
もちろん、彼女にとっても初めての大舞台だ。全力を出すのは当然のことだろう。
でも、それは周りの子たちだって一緒。フレちゃんだって。そんなフレちゃんから見ても凄いということは、よほどのことなんじゃないか。
「頑張るのもいいけどさー……ちょっと、心配になるなー」
「根を詰めすぎてるってこと?」
「うん、そんな感じー。頑張りたいって気持ちはわかるけど、頑張りすぎると、よくないこともあると思うんだよねー。もっと気楽にいかないと、このフレちゃんみたいにね」
「ええ、そうね」
つぶらな瞳でウィンクをしたフレちゃんに、私は頬を緩ませた。
気楽、と言っているけどフレちゃんだってこう見えてかなり周囲には気を使ってる。もちろん、気楽にやっているのも間違いないし、そんなフレちゃんを否定するのはもっての外だけど……本当に、単に気楽というわけじゃない。しっかりと周りは見えている。
今だって、気を使ったからこそ、そのことを私に話してくれているんだろう。
「カナデちゃんもやっぱりフミカちゃんのこと気になる?」
「まあね」
「だったら会って行けば? 確かフミカちゃん、アタシとレッスン入れ替わりだから、そろそろ終わるんじゃない」
「ホントに?」
「テキトーは言うけど嘘は付きませんよ。フレちゃんは」
何でもないように言ったフレちゃんの顔を、私は思わず覗き込んだ。
「なんだか、フレちゃんの手の平で踊らされてるみたいね」
「カナデちゃん、孫悟空だった?」
「なにを言ってるの、私はビーバーだけど」
「えへ、そうだった」
楽しそうにフレちゃんは笑った。
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