41:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 22:07:49.94 ID:u50g9+A20
すぐに言葉を継ぐことはできなかった。自分の中に巻き起こっている感情を抑えるのに必死だった。
「どうして……奏さんは選ばれなかったんですか?」
代わりに質問をしたのは文香だった。プロデューサーは目を伏せた。何かを考えているような様子で。
「選ばれてたさ」
「えっ?」
「選ばれてたよ、奏だって。今回のライブでソロを歌うって」
「それなら……なぜ?」
「断ったんだよ、アタシが」
私と文香は同じタイミングで短い言葉を漏らした。
プロデューサーは気まずそうに視線をそらしたが、それでも、意を決したようにまっすぐと私たちを見つめ返した。
「それで、ほかに質問は?」
「どういうことか教えてもらえる。プロデューサー。貴方が、私のライブ出演を断ったの?」
「そうだよ。上の人はむしろやる気だったよ」
「だけど断った。貴方、プロデューサーなんでしょ」
アイドルにとって、ライブは晴れの舞台の一つだ。
その舞台に自分のアイドルをあげさせないことを選択するなんて。まともなプロデューサーの判断とは思えなかった。
「プロデューサーだから判断したんだよ。今の君を、ソロで舞台に立たせる気はない」
はっきりと、プロデューサーは言った。
みぞうちに重い一撃でも食らったかのように頭がくらくらした。
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