3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/11/18(木) 23:26:51.89 ID:gFdjDzhvO
「なあ、忍」
「なんじゃ、我があるじ様よ」
「お前、悔しくなかったのか?」
あの時、ついぞ聞けなかった忍の心境について訊ねると、忍はかかっと笑い飛ばした。
「悔しいに決まっておろう」
「そうか」
「じゃが、同時に清々しくもあったな。あそこまで忌憚なき意見とやらを述べられることなど、どれだけ長生きしたとしてもなかなか経験出来ぬことじゃろうしな。そう言った意味では良い思い出といえよう」
思い出。思い出せる、過去。忍は目を閉じ。
「儂はあの日、かつてのパートナーと会わせてくれた猿娘に感謝しとる。それを今日、直接云えた。じゃから、少し胸が晴れたわい」
「そりゃあ、めでたいな」
「かかっ。めでたしめでたし、じゃ」
600年生きた吸血鬼が今更成長するかは定かではないが、僕の目の前にはたしかに、成長する筈のない幼女の成長が見て取れた。
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