藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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53:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 15:07:12.11 ID:/ZuqsV3u0
「釣りよりも、陶芸の方が私には向いているのかも知れません」
一つ目は、そう――。
暇という空白が好きではない私にとっては、何かしら手を動かし続けるものの方が性に合っていると考えたこと。
「それに……そろそろ、お嬢さまの誕生日が近づく頃です」
二つ目は、お嬢さま。
この夏が過ぎ、秋が深まる前までには、その準備を進めておく必要がある。
手前勝手ではあるが、手作りの陶器であれば、お嬢さまも喜んでくださるかも知れないと思ったのだ。
「……もちろん、喜んで」
肇さんは私の目を見つめ、ゆっくりと頷いた。
申し出を受け入れてくれた事に謝意を示す私に、肇さんはクスリと、どこか悪戯っぽく微笑む。
「ちとせさんには、内緒ですね?」
それは、ともすれば皮肉だった。
彼女と釣りを行くことについて、お嬢さまに了解を求めようとしていた私に対しての。
だが、こちらも知らず笑みがこぼれてしまう。
「そうですね」
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