藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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41:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 14:45:30.13 ID:/ZuqsV3u0
 無為に流れる時間は、私に考える暇を与えたらしい。
 肇さんが今日、私を釣りに誘った理由を。

 もちろん、ただの気まぐれ、その場の思いつきだった可能性もある。
 しかし、繰り返しになるが、彼女は先のユニット活動においても人一倍の気ぃ遣いだったのだ。

 冷静に振り返って、何も意味が無い行いだったとは考えにくい。


 では、今回の釣りが本来託されていた目的とは何なのか?

 魚を捕まえる以外の目的が――?


「…………」

 気づくと、私の竿はだらんと垂れていた。
 腕の力を抜いてしまい、水の勢いに任せるままに穂先が川下へと向けられていたのだ。
 先ほど肇さんに教わった「瀬尻」とは、はるか遠い位置だ。

 慌てて竿を引き戻す。
 餌も付け直すべきか? この分だと、どうせもう取られているだろう。

 だが、なぜか付け直す気にはなれなかった。

 飽きたのではない。
 何だろう。何というか――。


「何だか……ボーッとしてしまいますね」



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