【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】
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891:名無しNIPPER[saga]
2022/02/08(火) 19:41:33.25 ID:SoPeP1pq0
だがその声はゼウスからの通信で遮られてしまった。

「さて、と。聞こえているんだろう、ガキ。エヴァとか言ったか。お前ならここに来た理由も分かっているな?」

豹変したゼウスの態度に驚きながらも、カズミは後ろを振り返ってエヴァの表情を窺う。彼女の表情は険しかったが、それが何を意味しているのかまではカズミには分からなかった。

「ノアにはもう準備させている、後はお前だ」

「わかった...お姉ちゃん、ヘルミラーに通信をつないで」

「う、うん」

通信を繋ぐとすぐにノアの声が耳に入ってきた。

「エヴァ姉ちゃん、こっちはいつでも良いよ」

「わかった。じゃあ、始めるよ」

エヴァは目を瞑るとガザレムの時と同じようにハミングを始めた。違っているのはメロディーと、ノアも同時に歌っていることだ。

今までのことが頭に浮かんで、カズミはすぐにエヴァを止めようとしたが、他でもないエヴァ自身が片手でそれを制止した。

カズミの心配とは裏腹にエヴァの体調が悪化することもなく、歌はすぐに終わった。そして続いて聞こえてきたのは大きな地鳴りだ。地面が横に大きく揺れる。

そうして揺れが収まった時、カルデラの様相は一変していた。まさしく地が割れたかのように、地下への巨大な穴が空いていたのだ。

「い、いったい何が...?」

かなりの深さがあるようで下の様子は全く見えない。その裂け目はさながら世界の底に続いているかのようだった。

「さて、ここからが正念場だ。地下へ降りるぞ。もちろんお嬢さん、君もね」

カズミに拒否権はなく、地下へ降りる選抜隊、ヘルミラー、そしてアトラスと共に深い闇の中へと入る事となった。

底へと降る道中、カズミは見覚えのあるものを目にした。それは蒼く輝くメルクリウスだ。暗闇の中に蒼白の光が降り注ぐその絶景は、宇宙を知っている者であればそれに近いと思っただろう。

「はぁ...」

そうでなくとも言葉を失う程の眺めだった。

メルクリウスはカズミ達とは対照的に地上へと昇っていき、時折横へと移動して闇の中へと消えていった。

そんな幻想的な風景の中で、カナアンの人々とゼウスだけは憎悪が篭った目をしていた。

「ゼウスさん、奴らがきたぜ」

突然、外に置いてきた部隊を率いるカスケードからゼウスに通信が入った。

「異変を察知して慌ててやってきたってところかな。まあ、もう手遅れだろう。足止めは任せたよ」

「了解だ」


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