【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】
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75:名無しNIPPER[saga]
2021/10/09(土) 23:20:08.40 ID:aP1snpjV0
カズミはシエラ=レオネから与えられた自室のベッドに寝転がっていた。目を閉じて彼女との会話を思い出す。

「我々特務機関は大統領直属の研究開発チームだ。とはいえ公式には存在しない。だからもちろん所属する人員もまた書類上は存在しない。丁度貴様が偽の葬式を挙げたようにな」

カズミは、挙げたんじゃなくて勝手に挙げられてたの間違いです、と言いたくなったがそっと胸にしまっておいた。

「主な仕事はメルクリウスを用いた技術、兵器の開発だ。だが我が機関は準軍事組織でもあってな、一個大隊程度の兵力を保持している。そのため汚れ仕事を引き受けることも稀にある」

「汚れ仕事って...」

「暗殺、監視、誘拐、破壊工作、他国の政権転覆...まあ色々だ。何せ我々は存在しない。それ故法規に縛られる道理はない」

やはり自分はとんでもない組織に入ってしまったのだとカズミは再認識した。

「とはいえ最近は大人しいものだ、安心しろ。それより貴様の職務だがな」

「はっ」

「あの機体...ADMだがな。あれを発見したのは1年半前だ」

「発見、ですか?」

「ああ。あの少女...エヴァと共に打ち捨てられているのを我々が発見した。それから機体の調査を行ったのだが、あれは特異すぎる。というのも──」

ADMを動かす事ができるのはエヴァだけらしい。他の人間はそもそも起動すら出来ないとか。それにエヴァでも完璧に動かせるわけではないようだ。だからといってそのままにしておくのも宝の持ち腐れだから、少しでも性能を上げる為にあのAI──アダム──が搭載されたらしい。驚くべき事にADMは今の不完全な状態でも最新世代のPEMに引けを取らないらしい。

それならもし完全な状態になればどうなるんだろう、そう思うとカズミは少し恐ろしくなった。

「それとエヴァ、彼女も普通ではない。どうやら彼女はメルクリウスの埋蔵位置を探知する事ができるらしい」

「人間が...?」

「ああ。現に彼女は小規模ではあるが未発見であった国内のメルクリウス埋蔵地をいくつか発見している」

これが本当なら世界が変わりかねない。というのもメルクリウスは位置の特定が難しくその検討はおおよそしかつかない。それ故メルクリウスの採掘は当てずっぽうになる傾向が強く、年々エデンの荒廃は進んでいく。だからこそガーディアンオブエデンのような組織が存在するのだ。

「ADMとエヴァ、これらだけでも手に余るというのに、更に貴様が現れた訳だ」

「私が...」

「ああ。エヴァ以外動かせるはずのない機体を唯一動かせた人物、それが貴様だったという訳だ」

そうは言われてもカズミには皆目見当もつかない。自分は他人と違う所なんてない。唯一あるといえばちょっと勘が鋭いくらいだ。

「ようやく職務の話に戻るが、貴様はこれからADMのパイロットとしてエヴァと共に活動してもらう。詳細はまたその都度伝えるが、概要は以上だ」

そう告げるとシエラ=レオネの足が止まった。

「ここが貴様の部屋だ。今日は休め。では」

「はっ」

去っていくシエラ=レオネを敬礼で見送った後、部屋に入り、カズミはベッドに寝転んだのであった。そして現在に至る。


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