9: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/20(月) 23:47:02.84 ID:7siPWhRxO
「……マンションに、異変はないよな」
「あ、さっき言ってた悪夢を気にしてるの?大丈夫、もう住んで10年経ってるけどすっごく快適。セキュリティも万全だし治安は良好だよ」
「……ならいいけど」
「考えすぎだってば。ていうか、これからどうする?スタバでお茶して終わりじゃしょうがないでしょ」
時計を見ると14時過ぎだ。道玄坂方面に向かってもいいが、身体目当てに呼んだと思われても癪に障る。そういうことは嫌いじゃないが、今は由梨花といる時間そのものを楽しみたかった。
「……そうだな、映画何かやってたっけ。竜のなんとかってのが流行ってるらしいけど」
「んー、映画もいいけど。ヒカリエの辺りをブラブラするのもよくない?」
「ま、それもいいか。ただ、そんな手持ちはないぞ」
「いいのっ。じゃ、行こっ……」
由梨花の視線が止まった。窓側の席をじっと見ている。
「どうした?」
「いや、誰かが見てるような気がして」
由梨花の視線の先には、若い母親と小学校高学年ぐらいの子供がいた。
「……あの母子が?」
「どうだろ、気のせいだと思うけど」
母親はかなり整った顔立ちだ。母親にしては少し若すぎる気もする。
ただ、それより目を引いたのは子供の方だ。水色のジャケットにフレームの厚い眼鏡。これで蝶ネクタイまで着けていたら、ほぼ某国民的アニメの主人公だ。
「コスプレ、じゃないよな」
「あー、言われて気付いた。名探偵コナンっぽいよね、あの子。本当に探偵だったり」
「なわけあるかよ。行くよ」
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