98: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/09(木) 00:48:43.51 ID:gvlgOaLx0
喧嘩別れしてしまった彼からの伝言。
それはやはり、わたしを責めることだろうか。
決して逃れることのできない嫌な記憶が蘇る。
「あー、いいか? こんな風に代弁するってのは、なかなか気恥ずかしいが、仕方ねぇ。男の約束だ」
会長は頬を指で掻くようにした後、こう続ける。
「あの時はごめん。僕が間違っていた。天音ちゃんはクラスの赤点ラインを下げるためにわざとミスしてくれていたんだね。僕は実力を出さない君に対して、色々と暴言を吐いてしまった。本当にごめん────ってな。多分、一言一句間違ってねぇ」
「……っ」
胸が張り裂けそう、とはよく言ったものだ。
まさにそれを体感している。
どんな意図があるにしても実力を出さず、まずまずな点数を取り続けるのは一部からしてみれば嫌味と認識されても無理はない。
ただそれだけならまだ良かったかもしれない。
しかしわたしはその後、言い返してしまった。
そもそもこんな簡単なテストで満点を取れない方がおかしい、と。
その言葉の痛さ、重さを理解したときには、すべてが手遅れだった。程なくして邦彦くんは地元を離れた。それから何人もの友人がわたしと接することを辞め、わたしは一人ぼっちになる。
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