97: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/09(木) 00:48:12.12 ID:gvlgOaLx0
わたしは俯いて話を聞く。
「神童って呼ばれていたみたいだな」
「……そんなんじゃ、ありません」
「小学生とはいえテストでは常に満点、誰よりも早くチャリンコに乗れて、逆上がりも、縄跳びも出来たそうじゃねぇか。文武両道、完全無欠の優等生って聞いたぜ」
俯いたところで会長の話が途切れることはない。
わたしの過去を穿り出すように淡々と告げる。
「ただ頭が良い奴だけならいくらでも居る。ただ身体を動かす事が得意なやつならいくらでもいる。ただお前は、随分と頭がキレるらしいな。大人が考えた謎解きを数秒で解いて学校の行事を潰したとか────」
「……」
「いや、悪りぃ。悪気はないんだ。俺は面白いと思ったぜ。難しい問題を考えられない大人が悪いってな。まぁ難しくしすぎても他の子供が解けないわけだが」
そんなこともあった。
いつしか記憶から抹消しようとしていた記憶。
「まぁ何はともあれ、お前はスゴイ奴らしいな。そんなお前がこの学校に入学するって聞いて、俺はつい一晩かけて笑っちまった。運命なんてこれっぽっちも信じていなかったが、噂の天才と会うことが出来たんだからな」
「……話はそれだけでしょうか」
「いいや、ここからが本題だ。邦彦から言伝を預かっている」
その言葉にわたしは顔を上げる。
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