401: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/10/07(木) 22:06:23.85 ID:KFWSPOjR0
わたしは頷き、休憩所へと移動する。
3人掛けのベンチに1人分のスペースを開けて座ると、東雲さんが小さな口を開いて話し始める。
「春宮様とは一度お話させていただきたいと、失礼ながらずっと思っておりました。今回の特別試験にあたり、こうしてお話させていただく機会があって非常に喜ばしく思います」
「そ、そうですか。ところでその、敬語というのは……一応、同級生ですし。もう少し砕いてもよろしいのではないでしょうか」
と、言っている自分も釣られて言葉が怪しくなる。
これでは説得力がカケラも無い。
彼女は一切表情を変えることなく、淡々と話す。
感情が無いように、ただ義務的に。
「ご無理はなさらないで下さい。わたくしは、昔からこのような話し方なのです。ご不快に思われたのであれば、申し訳ありません」
「いえ、そういう訳ではありません……!」
しっかりと頭を下げる東雲さんに頭を上げるよう促し、心を落ち着けるためにも座り直す。
東雲さんってこんな感じの人なんだ…。
かなり礼儀正しい人だとは聞いていたけど、ここまでとは想像していなかった。
「春宮様、単刀直入に本題を申し上げます。もしよろしければ、わたくしとご連絡先を交換していただけますでしょうか」
「連絡先? はい、もちろんですっ」
「ありがとうございます」
携帯を取り出し、連絡先を交換する。
要した時間は30秒にも満たなかった。
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