400: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/10/07(木) 22:05:52.11 ID:KFWSPOjR0
◇◇◇
東雲雪菜さんは良く目立つ。
腰まで伸びた黒髪は手入れが行き届いていて、手足はスラっとガラスのように細く、儚げな雰囲気を纏っている。それでいて肌が真っ白なのだから、まるで和人形のような印象を受ける。
そんな彼女が綺麗な佇まいでケヤキモールの出入り口から少し離れたところで待っていた。特に携帯を触ることも、星を眺めることもなくジッと。
つい携帯を取り出して一枚撮影したい気持ちを抑えて近付き、声を掛ける。
「ごめんなさい、お待たせしましたか?」
「いいえ、待っておりません。本日は生徒会の業務後にも関わらずお越しいただきありがとうございます」
恭しく一礼をされ、わたしもしどろもどろにお辞儀をする。ここまで謙られるとこちらも恐縮してしまう。
「お時間は取らせません。あちらでお話できますか」
そう言って視線を向けたのはケヤキモール近くの休憩所だった。
花壇に囲まれたそこは、ケヤキモールで購入したものをあの場所で飲食する生徒が多く見られるスポットだ。しかし今は時間帯もあって利用者が見られない。少し話すだけなら絶好の場所だろう。
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