402: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/10/07(木) 22:07:14.33 ID:KFWSPOjR0
「本日はお忙しい中、ご足労いただきありがとうございました。要件は以上となります」
「あ、もういいんですか?」
「はい。幸い、わたくし達は『ねずみ組』あと13時間もしないうちに通達があります。お話させていただく機会はこれから存分にございます」
試験開始前から協定を結ぶよう提案があるかと身構えていただけに、連絡先を交換しただけでお開きというのはやや意表を突かれた結末だ。
それでも連絡先を交換できたのは大きい。
神宮くんに続き、東雲さんとも連絡が取れるようになった。これは『ねずみ組』における特別試験では良い方向に事を運べるだろう。
「改めまして、本日はお疲れのところありがとうございました。こうしてお話できて大変嬉しく存じます。明日より、またよしなにお願い致します」
「こちらこそありがとうございました。明日から2週間、一応敵同士ではありますが、お手柔らかにお願いします」
立ち上がり、お互い深々と頭を下げる。
内心、高校一年生でするようなことじゃないなと思いながらも、3秒、5秒と経過した頃に頭を上げる。
目の前の東雲さんはわたしが戻って1秒後に頭を上げた。
なんだかどちらが先に頭を上げるかで勝負をしていたような気もするが、おそらく彼女とは平行線の勝負になる気がする。無意識の内に頭を上げてしまった自分を責める必要は無い。
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