199: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/17(金) 22:57:37.79 ID:wAYHW6+C0
周りには生徒は居らず、先生も居ない。
ただ、ほんの少し前へ踏み出せば全校生徒の注目の的となるポジションだ。当然、緊張はしている。
後ろに居る神宮くんは膝を震わせているほどだ。
「天音ちゃんは結構大丈夫そうだね。こういう場所って慣れてるの?」
「いえ、まったく。ただ緊張しすぎても意味がないって自分の中で折り合いをつけているだけです」
「お、いいねぇ。そーいうの大事だと思うよ」
「おい、そろそろだぞ」
ユキ先輩の言葉に、わたし達は口を閉じる。
向こう側の舞台袖から錦山先輩─────錦山暁人生徒会長が全校生徒の前に立つ。
息を呑む音が聞こえて来そうな緊張感だった。
淡々と進行を進めていき、今年度の生徒会メンバーを発表する場へと移る。
役職順に呼ばれていき、三年生の書記であるユキ先輩が呼ばれた。その次は─────わたし。
「書記。一年Dクラス、春宮天音」
「はい」
なるべく生徒のことは視界に入れず、ユキ先輩の隣に立つ。前を向くと、嫌でも無数の生徒が視界に入る。決してわたしを見ている訳ではないと理解していても、見られていると錯覚してしまう。
舞台上からは全校生徒の顔がハッキリと見えた。
同じクラスの生徒はとても驚いた表情をしている。
ここまで内緒だと箝口令が敷かれていたとはいえ、かなり申し訳ない気持ちになる。
副会長以下九名が錦山生徒会長の後ろに立つと、そのまま錦山生徒会長は締め括りの言葉を口にする。
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