144: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/12(日) 02:16:20.90 ID:/n5N8f0V0
前を歩く荒垣くんの大きな背中を見てしばらく歩き、あとは右に行けば男子更衣室、左に行けば女子更衣室という分岐点前で荒垣くんが歩みを止める。
「本気でやったか?」
「もちろんだよ」
わたしは即答した。
事実、ほぼ本気だったのだからそれは間違いがない。しかし彼はわたしのことを疑っている様子だ。
「俺にはそうは見えなかった。特に残り十五メートル。あそこから段々と加速していくように見えた。なぜ最初から加速させなかった。それが不思議でならない」
「それは、久しぶりだったからだよ。水泳自体が久しぶりで、準備運動もそんなに出来なかった。だから、って言ったら信じてくれる?」
「……なるほど。わかった、今はそれで納得しておくことにしよう」
決してこのやり取りの中で彼は振り向くことなかったが、ここでようやく右を向いた。男子更衣室の方へ向かうようだ。
「それともう一つ聞きたい」
わたしも女子更衣室へ、と思ったところで再度声をかけられる。
「もし百メートルだったらどっちが勝ってた」
「……飛び込みありかなしかで、変わってくるかも」
「ありだ。実際の競泳百メートルをやったら、どっちが勝つ」
五十メートルのタイム差はコンマ五秒に満たない。
わたしは彼の言う通り三十五メートルから本気を出したし、これからというところでゴールしてしまった。もし最初から本気を出して、トップスピードで泳ぐことができたら。
それはおそらく…。
【安価です。
1.「もちろんわたしだよ」
2.「たぶん、わたしが勝つと思う」
3.「荒垣くんじゃないかな。さすがに」
4.「かなり良い勝負はすると思うよ。僅差で勝負は着くと思う。どちらが勝つかは分からない。
下1でお願いします。
今日はここまでにします。お昼頃か、夜頃に再開します。】
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