123: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/11(土) 11:12:44.68 ID:OCYa+xYb0
そんな彼が向かってくるのは、こちら側。
とてつもなく嫌な予感がした直後のことだった。
「お前が春宮か?」
「……何かご用でしょうか?」
突如として割り込んできた柄の悪い男子生徒に、早見さんは視線を逸らすため俯く。
まずい、本当に悪いことをした。
彼女との距離を縮める目的はさておき、誰だってこんな状況に巻き込まれれば嫌な思いはするだろう。
後で精いっぱい無関係である弁解をするのは当然として、明日以降の予定の見直しが必要になりそうだ。
「なに、大した用じゃねぇよ」
彼はわたしを押すように、わたし側のシート席へ入り込んできた。必然と窓側へと移動となり、彼が座ることで退路が絶たれる。
何の話をするか想像もつかないが、わたしに用があるなら、これ以上早見さんを同席させても良いことは無いだろう。
「彼女は関係ないですよね?」
「あぁ。好きにしろ」
ここで彼を無視して帰るよう促すことが悪い方向に進まないとも限らない。何がなんでも早見さんに害が及ぶことは避けたかった。
「ごめん、絶対に埋め合わせするから」
わたしがそう言うと、早見さんは心配そうな顔をしながらもコクリと頷き、スムージーが入ったカップだけを持って席を立つ。
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