3: ◆CrAv5R2gC.[saga]
2021/08/12(木) 10:32:54.04 ID:1HuCQJGK0
「……なるほどなぁ」
報告書に目を通した男が口を開く。十数枚に渡るそれを一気に目を通したことで疲労感が生まれたのだろう。欠伸と溜め息が混ざったものが漏れる。昼間といえども関係ない。弱った体があれば睡魔は襲いかかってくるのだ。
「姿勢が悪いですよ」
「おっと、失敬」
執務室で彼専用の椅子に深くもたれていたことを横の秘書官に咎められた彼は、気と姿勢を取り直す。年期の入った椅子は小さく鈍い悲鳴をあげた。
「まったく…人使いが荒すぎる。人が足りないってのに……」
「それは私ではなく上官にお話してみては?」
「顔を合わせる度に3回は言ってるさ。この前なんか敬礼の前に言ってしまった」
「……それが原因では?」
「いやいやまさか」
「私であればそんな無礼な人の頼みは聞きませんね」
「それは流石にないだろ…………いや…でも、え?」
「今度謝ってみてはいかがですか?」
「逆に引かれて距離置かれそうなんだが」
実際のところ、彼らの上官である元帥にとっても彼らの人手不足は最大の課題であった。
仕事の性質上、簡単に動員できるものがいないというのが正しい。
さらに正しくは、彼らはここへ来る者を減らすために日々仕事に明け暮れているのだ。
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