1: ◆CrAv5R2gC.[saga]
2021/08/12(木) 10:28:20.09 ID:dyqfApCWO
360度見渡す限りの海。
入道雲が昇る青い空も相まって、水平線はぼやけて見えた。
「こちら吹雪。問題ございません」
15分おきの連絡も終えたころ、吹雪は欠伸を噛み締めていた。
横にいる睦月もその様子を横目に見て、つられて口を押える。
ここは深海棲艦から奪取した鎮守府近海。ごくたまに小型の駆逐艦が現れるが、日々鍛錬を積んでいる二人からすれば恐れるに足らない。
それもあってふたりはリラックスと程よい緊張感の狭間で任務をこなしていた。
ふたりは鎮守府でも有名なほどに仲が良いが、景色も変わらない海を延々と進んでいれば流石に会話のラリーも減る。
「そろそろ戻ろうか」
「そうだね」
そうこうしているうちに警備範囲の限界まで来た。ここから先は二人だけで進むのは万が一のことを踏まえて禁止されている。
何事もなく折り返し地点まできた二人の頭の中には昼食の献立が浮かんでいた。
「今日のデザートは何かな?」
「昨日はチョコパフェだったよね」
散歩の感覚で進めるいつも通りの警備任務。二人はつかの間の平穏を満喫していた。
そんな変哲もない日常が崩れたのはそのあとだった。
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2: ◆CrAv5R2gC.[saga]
2021/08/12(木) 10:30:18.02 ID:1HuCQJGK0
「……ん?」
話のネタも兼ねてあたりを警戒していた吹雪だったが、進行方向のぼやけた水平線上に影を見つけた。
艦娘といえども視力は限界がある。はっきりとはわからないが、かろうじで人型であることはわかった。
3: ◆CrAv5R2gC.[saga]
2021/08/12(木) 10:32:54.04 ID:1HuCQJGK0
「……なるほどなぁ」
報告書に目を通した男が口を開く。十数枚に渡るそれを一気に目を通したことで疲労感が生まれたのだろう。欠伸と溜め息が混ざったものが漏れる。昼間といえども関係ない。弱った体があれば睡魔は襲いかかってくるのだ。
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