【ウマ娘】小さなトレーナーと白い奇跡【みどりのマキバオー 】
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:17:48.80 ID:OS/CCdyu0
「お、おめぇは……」
雑巾を持ち上げたのは、以前マックイーンの元にやってきた帽子を被った芦毛のウマ娘だった。確か名をゴールドシップと言っていただろうか。
「ちょうどいいところに雑巾が落ちてるじゃんか〜。うっし、いっちょ気合い入れてやってやろうじゃねーか」
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:18:36.41 ID:OS/CCdyu0
暖かい風が吹いていた。
昨日の雨とは打って変わり、眩いばかりの晴天。長い冬の終わりを告げるかのように、桜の花びらが静かに舞っている。
真新しい制服に身を包んだ多くの新入生が、期待と不安を胸にトレセン学園の門を潜る。
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:19:13.14 ID:OS/CCdyu0
トレセン学園内にある本物のレース場を模した練習コース。そこにあるビュースタンドは既に20万人を超える観客で埋め尽くされていた。
全国の競馬関係者、ファン、そして入学式を終えた新入生を含めた学園の在校生一同。
非正規のレースであり、あくまで非公式のもの。しかしながらその価値は三冠達成の瞬間を目撃する以上の価値がある≠ニ触れ込みが各社の競馬新聞により報じられた。
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:21:01.62 ID:OS/CCdyu0
ウオッカの質問には答えず、ゴールドシップはスターティングゲートを指差す。そこには、錚々たる顔ぶれがジャージ姿で並んでいた。
「前日の雨が嘘のような快晴。暖かな春の陽気の助けもあり良馬場との発表がありましたここトレセン学園には、世紀の対決を一目見ようと多くの観客、関係者が詰めかけております。今回のメインは何と言っても一枠一番トウカイテイオーと一枠二番メジロマックイーン。このチームスピカ二大スターウマ娘の対決ですね、細江さん」
「そうですね。宝塚記念では見られなかった中距離対決への注目も勿論ですが、今回有志で参加を表明してくれた他のウマ娘たちからも目が離せません。誰が勝ってもおかしくない、まさに世紀の一戦になることは間違いないでしょう」
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:22:05.87 ID:OS/CCdyu0
「ダービーウマ娘と言えばこの娘も外せません。三枠五番にはトウカイテイオー同様に無敗で二冠を達成したミホノブルボン。そしてそのミホノブルボンとメジロマックイーンの悲願を阻んだ黒い刺客、ライスシャワーが三枠六番にて出走です」
「ミホノブルボンとトウカイテイオーの無敗二冠対決、そしてライスシャワーとメジロマックイーンのリベンジマッチにも注目したいですね」
「続いて四枠七番よりイクノディクタス、四枠八番からはマチカネタンホイザが参戦です」
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:23:19.00 ID:OS/CCdyu0
「さぁ、気を取り直しまして五枠九番、十番からは新世代、BNWよりウィニングチケットとビワハヤヒデが参戦」
「ウィニングチケットもダービーを獲ってますし、ビワハヤヒデも有馬でのリベンジに燃えていると思いますよ」
「六枠十一番、十二番からは芦毛の二大巨頭、怪物<Iグリキャップと白いイナズマ<^マモクロスが出走致します」
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:24:07.19 ID:OS/CCdyu0
スターティングゲートに入ったマックイーンは、隣で準備運動がてらに首を回しているウマ娘に話しかけた。こうして彼女と言葉を交わしたのはいつぶりだろう。色々話したいことを頭の中に用意していたつもりだったが、何を置いてもまずはこの言葉を先に伝えなければならない。
「お待たせしました」
桜の花びらを運ぶ風が栗色の髪を撫でている。柵越しに青い瞳を真っ直ぐこちらへと向けたトウカイテイオーは、マックイーンを見つめ返して答えた。
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:25:16.86 ID:OS/CCdyu0
「「「うぉぉぉおおお!!!!」」」
20万人もの大歓声でスタンドが揺れている。様々な想いや願いを胸に十三名のウマ娘たちがターフを駆ける。まず先頭に立ったのはマックイーン。それに並走する形でミホノブルボン、メジロパーマーの三名が三つ巴の先頭争い。その三馬身後ろをエルコンドルパサー、イクノディクタス、ビワハヤヒデ、ウィニングチケットが追走。そこから更に二馬身後ろをスペシャルウィーク、内側から離れてやや大外へと向かいましたトウカイテイオー、オグリキャップ、マチカネタンホイザ、タマモクロス、ライスシャワーの順位でレースは進んでいく。
(序盤は大外後方から様子見。そこから足首のバネを活かして一気に上がってくる。まさに定石通りのテイオー走法。ですが、わたくしは負けるわけにはいかないんです!)
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:25:53.85 ID:OS/CCdyu0
「おーっと! なんとここでメジロマックイーンが仕掛けて行ったぞ! これは予想外! 異常と言えるくらい速すぎる展開ですがどう見られますか細江さん」
「冷静で聡明な彼女らしからぬ走り方ですね。序盤からこのペースでは後半のスタミナ切れも充分ありえますよ」
「さぁ、メジロマックイーンの大逃げに釣られて他のウマ娘たちも一気に上がってきた! 先頭は変わらずメジロマックイーン。二番手にメジロパーマー、その後ろ三番手にミホノブルボン、エルコンドルパサーとウィニングチケットがほぼ横並び。その一馬身後ろにオグリキャップ、スペシャルウィーク、ライスシャワー。更にその二馬身後ろにイクノディクタス、トウカイテイオー、ビワハヤヒデ、タマモクロス、最後尾にマチカネタンホイザという順番であります」
以下略
AAS
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:27:13.11 ID:OS/CCdyu0
マックイーンの最も危惧する敵は後方にはいない。いるのは自身の左足。例えるならタイマーの見えない時限爆弾を抱えて走っているようなもの。爆発が避けられないなら、せめてゴール板を駆け抜けて盛大に散りたい。そんな願いがマックイーンの走りに反映されている。生き急いでいるように見えるのならば、それが真実。彼女の今抱えている境遇を誰もが知っているからこそ、痛々しくも懸命に走るその姿に心を打たれるのだ。大観衆の視線と声援を独占するマックイーンはペースを落とさず下り坂を進み、独走状態で第三コーナーへと差し掛かった時、そこからレースは大きく動くことになる。先頭を行くマックイーンにも観客席から轟いた大きな歓声とどよめきがそれを伝えていた。
「七番手、六番手、五番手、ここにきてスパートを掛けてきたのはやはりこの娘だトウカイテイオー! メジロマックイーン逃がすまじとグングンと距離を詰めている! 大外不利も何のその! トウカイテイオーがきているぞ! トウカイテイオーがきているぞ! まさに無重力状態だトウカイテイオー! 三度の骨折を経験したとは思えないほど鋭い走り! あっという間に二番手ミホノブルボンを抜き去り、今先頭のメジロマックイーンと並んだ!」
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◆Nsqe9nXw7g
2021/08/08(日) 00:28:03.95 ID:OS/CCdyu0
「きましたわね、テイオー!」
「今日こそ勝たせてもらうよ、マックイーン!」
「望むところですわ!!」
以下略
AAS
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