長門有希「離さない」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/11(日) 21:57:30.67 ID:0j9uV3lDO
「午後の授業、完全に遅刻だな」
「あなたのせい」

午後の授業の開始を告げる鐘の音がスピーカーを通じて校舎に鳴り響き、サボりが確定しても長門は離してくれない。俺も離さない。

このところ、思うことがあった。
長門とのこの関係性は健全ではないと。
不純とは思わないが、純情ではなかった。

そもそもの話、ここは外国ではないのだから男女が抱擁するまでに済ませておくべきプロセスというものがあって、我が国の常識で言えばそれは告白であったり、キスであったり、そうした順序を飛ばしていることについて、俺は頭を悩ませていた。葛藤していた。

「お前はどう思ってるんだ?」
「話すのは……得意ではない」

それはずるいと思った。俺が色々と今の関係性について悩んでいるのにそれに向き合うことすら放棄しているように見えて、しかし。

「あなたの責任」

責任。責任か。重くのしかかる。俺の罪だ。

「別に、押し付けるつもりはないんだ」

言い訳にならないように、言葉を選びつつ。

「ただ、一緒に考えて欲しくて……」
「考えている」
「じゃあ、聞かせてくれ」
「私の結論を伝えるつもりはない」

長門は頑なに、それを伝えてはくれない。
何故ならば、それはあくまでも長門が導き出したもので、俺もそうするべきだからだ。

俺は俺の結論を見つけなければならず、そしてそれをとっくに見つけているのに口に出さないことを、長門はキツい抱擁で咎めてくる。


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