3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/11(日) 21:37:29.49 ID:0j9uV3lDO
「悪かった。もしもお前が負担に感じるならすぐに出て行くから……」
「待って」
席を立とうとすると長門に引き留められた。
「話すのは、苦手」
「長門……?」
「だから、こうすれば話す必要はない」
そう言って、長門はおもむろに席を立ち、ひんやりした手で俺の手を取り、立たせた。
そして何を思ったのか優しく抱擁してきた。
「な、何を……」
「話さない」
それは黙れという意味か。俺が沈黙すると。
「離さない」
その微妙なニュアンスの違いは、恐らく会話だけでは伝わらないもので、先程よりもほんのり強まった抱擁が、それを伝えてくれた。
なんとなく長門が話すことが苦手な理由がわかった気がする。この世界には言語化出来ないことが多すぎて、だから長門は自分の気持ちや感情を言葉にすることが難しいのだろう。そしてそれは誰しも当て嵌まることだ。
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