2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/11(日) 21:34:07.85 ID:0j9uV3lDO
「少しばかり邪魔しても構わないか?」
「構わない」
パイプ椅子に腰掛けた長門はいつも通り、読書していて、本から顔をあげて黒檀の瞳でこちらを見つめている。その視線を受けて、ひとまず来訪の目的を話しておくことにした。
「実はクラスの男共と昼休みを過ごすのに飽き飽きしてさ。もしお前さえ良ければ、話し相手になってくれると助かるんだが……」
まるでナンパの常套句みたいな台詞に我ながら軽薄さを感じてしまうが、長門はあまり気にしていないようで、こんなことを呟いた。
「話し相手として、私は不適切」
「何故だ?」
「私は話すのが苦手」
自らの短所を淡々と口にされて、なんだか申し訳ないというか、そんなことを長門に言わせちまった自分が情けなくて憤りを感じた。
「無理しなくてもいいんだ。なんなら、俺も読書するからおすすめの本を貸してくれ」
「でも、あなたの希望には応えられない」
そんなことお前が気にする必要はないんだ。
気まぐれに立ち寄っただけで、しかも来訪目的はくだらないもので、だからそんな俺に気を使う必要なんてないんだ。心が、痛んだ。
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