長門有希「離さない」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2021/07/11(日) 22:02:08.44 ID:0j9uV3lDO
「何よ、なんで開かないのよ!」

その声の主を間違える筈はない。ハルヒだ。
しまった。いつの間にか午後の授業は終わっていたらしく、部活動の時間となっていた。

「こうなったら、力尽くで……!」

今にも開かずの扉を破ろうとしているハルヒに焦る。まずい。授業をサボった挙句に長門と2人っきりの密室で何をしていたのか追求されたら詰みだ。打つ手なし。投了寸前だ。

「長門」
「もう……持たない」

眼力か念動力でハルヒの侵入を防いでいる長門の肩を掴む。黒檀の瞳と目を合わせてから、ぎゅっと抱きしめて、耳元で囁いた。

「好きだ。だから、信じてくれ」

想いを伝えてから、再び黒檀の視線と目を合わせると心なしか潤んでいるように見えて、それが幻覚かどうか判断する余裕もなく、俺は長門を狭いロッカーの中へと押し込んだ。

さて、涼宮ハルヒとの決戦の前に、これまでの抱擁でロッカーを使用しなかったのは俺が愛読している如何わしい本のタイトルが露見しないようにしていたのだという事実だけは伝えておかなければなるまい。

「ようやく開いた! って、キョン! なんであんたがここに居るのよ!? 」
「よう。遅かったな、ハルヒ」

長門が入ったロッカーを揺らすことなく俺は団長の机に座り、ハルヒの来訪を歓迎した。


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