823: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:48:07.57 ID:7SptLiMdo
一方通行「オマエに言われて気付いた。約束だとか、自己満足だとか、罪滅ぼしだとか、そンなモンただの建前だった。オマエを助けたかった理由はもっとシンプルだったンだ」
真紅の瞳が結標淡希を見つめる。決して目を逸らすことなく、ただ一心に。
そして、一方通行は言う。
一方通行「結標淡希。俺はオマエが好きだ」
告げた。一言一句ハッキリと。目の前の少女に伝わるように。
結標「なっ」
突然の告白に、結標が驚き、顔を赤面させる。
一方通行はそのまま続ける。
一方通行「だから助けた。オマエに傷付いて欲しくなかった。オマエには笑顔で居て欲しいと思った。そンなオマエと一緒に居たいと思った。これは俺の嘘偽りのない気持ちってヤツだ。建前も打算も何もねェ純粋な想いだ」
結標「……違うわよ」
俯きながら、結標は否定する。
結標「貴方のその気持ちは間違っているわよ。だって、私は貴方の知っている結標淡希じゃないのよ? なのに、そんな……」
一方通行「あのとき言っただろォが。記憶があろうがなかろうがオマエはオマエだってよォ」
結標「…………」
結標は俯いたまま黙り込んだ。
見たくないものから目を逸らせているように見える。
一方通行「ああ。そのリアクションは間違ってねェよ。これは俺が勝手に思っていることなンだからな」
目線も合わせない少女に語りかけるように言う。
一方通行「オマエの気持ちはわかっているつもりだ。俺がどォ思っていよォが、俺がオマエの半年という長い時間を奪ったクソ野郎ってことには変わりねェ」
一方通行は立ち上がり、結標へ背を向ける。
一方通行「邪魔したな。俺はもォオマエの前には二度と現れねェ。一切関与しねェ。オマエはオマエの好きなよォに生きろ」
一方通行はそう言い残し、部屋の外へと向かって踏み出そうとする。
しかし、彼のその一歩が止まった。
振り返らずに、一方通行は問いかける。
一方通行「どォいうつもりだオマエ」
一方通行の服の袖を掴む手があった。
それは他の誰でもない、結標淡希の手だった。
立ち去ろうとする一方通行を阻止しようとするように、引き留めようとするように。
彼女はその手を離さない。
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