822: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:47:17.84 ID:7SptLiMdo
結標「ねえ」
一方通行「あン?」
結標「聞きたいことがあるんだけど」
一方通行「何だ?」
結標「どうして私を助けたのよ?」
一方通行「あァ? あのとき言っただろォが。俺はオマエとした『約束』を果たすために――」
結標「そういうことを聞いているんじゃないわよ」
一方通行の返答を遮るように言った。
結標「貴方もわかっているんでしょ? 私は貴方を恨んでいる。嫌悪している。身の毛がよだつ程の恐怖の対象として貴方を見ている」
結標「そりゃそうよね? だって私にとっては、貴方にぶん殴られたのがつい一昨日のことよ? 新しい記憶として私の中にはっきりと残っているわ」
結標「そんな貴方にあんなことを言われて助けられたからって、私が喜ぶとでも思っていたの?」
結標は少年を睨みつける。
投げかけられた質問に一方通行は、
一方通行「いィや、ンなことは思ってはねェよ」
考える間もなく即答した。
結標「じゃあ貴方はそれを理解した上で、なんで私を助けたのよ?」
一方通行「ただの自己満足だよ」
吐き捨てるように言った。
そのまま一方通行は続ける。
一方通行「九月一四日ンときのことは、俺は別に何とも思ってねェよ。お互いの立場が違った。俺は俺の正義で、オマエはオマエの正義で動いた結果だからな」
一方通行「だが、そっから先はクソだ。オマエから半年以上の記憶を奪った。いや時間を、人生を奪ったっつった方がイイか?」
一方通行「そォいうことを全部分かった上で、俺はオマエと共に過ごした。呑気に思い出作りなンてモンに興じた」
一方通行「そのとき俺たちが過ごした日々のことをオマエが知ったら、おそらく今とは比べ物にならねェほどの負の感情が湧き上がってくンだろォよ」
一方通行「よォするに罪滅ぼしをしたかっただけだよ。オマエを助け出して光の世界へと連れ戻す。そォすることでそれを償うことができると思ってやった、自分勝手で傲慢な行動だ」
長々と返ってきた一方通行の言葉に、結標は目を丸くさせる。
結標「信じられない。そんな的外れな自己満足のために、貴方はあんなところにまで駆けつけてきたって言うわけ?」
一方通行「……そォだな」
結標「何で? 何で貴方はそんな事ができるのよ? 貴方の行動原理が私には理解ができないわ」
ピタリと一方通行の動きが止まった。
ちょっとした動作や、眼球の動き、息遣い。全部が。
結標が首を傾げた。
結標「どうかした?」
一方通行「……悪りィ。今言ったこと全部嘘だ」
結標「はあ?」
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