821: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:46:13.20 ID:7SptLiMdo
結標「……自由の身、か」
ベッドの上で上半身を起こしている結標が、窓の外を見ながら呟く。
先程まで土御門という少年と話をしていた。
彼は結標淡希と同じ学校に通うクラスメイトらしく、『グループ』という暗部組織に所属する構成員でもあるらしい。
らしい、というのは今の彼女には彼の記憶はないため、そのような助動詞が文章の最後に付いてしまう。
土御門からはいろいろなことを聞いた。
自分が様々な暗部組織から狙われていたということや、自分が起こした事件がどういう風に処理されたのか。
そして、これからの自分の処遇、など。
結標「そんなこと言われても、私にはもう……」
ガンガン!
結標の病室のドアから、荒々しいノックの音が鳴った。
今日は来客が多いな、と結標は入り口を見る。
結標「どうぞ」
ドアが開かれた。
そこにいたのは少年だった。
白い髪を頭に生やし、血のように染まった赤い瞳、線の細い体はまるでハリガネのよう。
首に巻いたチョーカーからは線がこめかみへ向けて伸びており、右手にはメカメカしい現代的なデザインの杖を取り付けていた。
結標は少年の名前を呟く。
結標「……一方通行」
一方通行「よォ」
一方通行は適当に挨拶をしながら歩を進める。
ベッドの横に辿り着き、結標を見ながら、
一方通行「具合はどォだ?」
結標「おかげさまでね」
一方通行「そォか」
挨拶程度の会話をして、そこで流れが止まった。
沈黙。それに絶えきれなくなった結標が言う。
結標「……座ったら?」
一方通行「おォ」
促されたため、一方通行はベッド横にある丸椅子へと座った。
だが、沈黙はまだ続いた。変わったことは椅子に座ったかどうか。
はぁ、と結標はため息をつく。
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