819: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:44:51.43 ID:7SptLiMdo
海美「何かしら?」
垣根「お前、少年院のとき電話してきて最後なんか言いかけてただろ? アレなんて言ったんだ?」
ビクッ、と海美の体が少し揺れた。
海美「……ああ、あれね。知りたい?」
垣根「そりゃな。このままじゃ気になって昼寝も出来ねえレベルには」
海美「果てしなく微妙なレベルね」
垣根「どうでもいいところに引っかかってんじゃねえよ」
海美「そうね……」
海美はそう言って少し黙り込み、窓の外へ目を向けた。
つられて垣根も見る。ビル街の中の病室のため、コンクリートジャングルしかない。
風景を見るために彼女は外を見ているのではないのだろう。
話すことが決まったのか、海美は振り向き、小さく笑って言った。
海美「うーん、ヒミツ、ってことで」
垣根「は?」
その答えに垣根は目を細めた。
垣根「テメェ、俺が何のために助けたと思ってんだ?」
海美「えっ、そんなくだらない理由で私は命拾いしたわけ? ちょっとショックなんだけど……」
垣根「生き残れただけでもありがたいと思え。いいからさっさと言えよ、殺すぞ」
海美「もうっ」
海美は困ったような声を漏らした。
困ってんのはこっちなんだが、と垣根は頬を掻いた。
ふと、それを見た海美が何かを思いついたようにニヤリと笑う。
海美「そうね。だったらヒントをあげるわ」
垣根「ヒントだ?」
海美「そう。ちょっと耳貸してちょうだい」
そう言って海美はベッド横に置いてある台に左手を置いて、前のめりに顔を突き出した。
垣根「? こうか?」
言われた通り垣根は中腰になって片耳を差し出す。
海美はそのまま唇を近付けた。
垣根の頬へ。
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