結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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808: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:35:50.79 ID:7SptLiMdo


 結標は先回りするように質問した。
 記憶喪失していたときの自分がどういう交友関係を持っていたのかなんてわからない。
 だから、目の前の少女と仲良くお茶をするような関係だったとしても、何らおかしくはない話だ。
 しかし、


黒子「いえ、まったく」

結標「は?」


 真顔で真逆の答えが返ってきた。
 思わず結標も唖然としてしまった。


黒子「わたくしは記憶喪失していたときの貴女のことは何一つ知りませんわ。けど、そのときの貴女が幸せに過ごしていたことは知っているつもりですの」


 「知っているとは言っても、あくまで聞いた話や状況から組み立てた憶測レベルなんですが」と黒子は付け加える。
 

黒子「けど、その幸せは全部壊れてしまいましたの。それも全部、わたくしのせいで」

結標「…………」

黒子「わたくしがもう少ししっかりとしていれば、もしかしたらあんな悲しいことは起きなかったかもしれませんわ」


 懺悔するかのように黒子は思いを打ち明けていく。
 ふと、黒子は目をハッとさせた。
 彼女の視線の先には怪我を負っている結標淡希がいる。


黒子「そう考えましたら今の貴女にも謝らないといけませんわね。貴女がこうやって怪我を負って入院している原因も、元を正せばわたくしですもの」


 結標は知っている。
 自分の記憶を蘇らせるために『残骸(レムナント)』事件に関わる人物たちが利用されたことを。
 『一方通行』。『御坂美琴』。そして、目の前にいる少女『白井黒子』。
 白井黒子もそれを知っている。わかっているからこうやって結標の前に立っているのだろう。
 だからこそ結標は言う。
 

結標「……自惚れないでくれる?」

黒子「えっ」


 結標は正面から彼女の目を見ながら、
 

結標「この怪我は私が自分のために行動した末残った結果。ただそれだけよ。貴女が介入できる余地なんてない。それに私はこういう結果になったことに対して、後悔なんて微塵も感じていないわ」

黒子「し、しかし」


 何か言おうとしている少女を遮るように口を動かし続ける。
 

結標「それに幸せをぶち壊した云々に関しては論外ね。だって、それは私に謝られても困るもの。私はあのときの『私』じゃない。許すこともできなければ、許さないと言って突き放すこともできないわけ」

黒子「うぐっ、たしかに……」

結標「そんな自己満足の謝罪をする暇があったら、学園都市の平和のためにパトロールでもしたほうがいいんじゃないかしら? 風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子さん?」


 ふふん、と結標は笑った。
 それに対して黒子は体を震わせていたが、次第にそれが収まっていき、落ち着くようにため息をついた。
 




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