結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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804: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:33:34.17 ID:7SptLiMdo


禁書「もしかしてとうま、私がひもじい思いをしている中、とうまだけこんな高そうで美味しそうなものを食べていたのかな?」


 先程の不安を抑えきれなくなったような目から一変し、疑念を浮かべるような物言いたげな目をする。
 あっ、これはまずい。そう思った上条は弁解するように。


上条「いや、違う! これは御坂が持ってきたお見舞いの菓子だ! まだ一口たりとも口にしてねえ!」


 上条はこの二四時間以内に食べたものを片っ端から思い出しながら、


上条「それに、今日食ったのは病院食とかいう、栄養バランスだけで男子高校生の味覚に合わせられてない料理だけだし、昨日だってどっかのホテルのルームサービスで頼んだ一杯五〇〇〇円もするボッタクリ牛丼しか食ってねえよ!」

美琴「それってもしかして、第七学区にあるホテルが出してる高級和牛乗せてる牛丼じゃない?」


 思わぬところからの援護射撃がこちらへ飛んできた。


上条「えっ、マジでか? あんま美味しくなかったぞ?」

美琴「……ああ、味覚が合ってなかったのね」


 残念なものを見るような目で美琴はそう言った。
 まさかあの牛丼がそんな高級料理だとは思わなかった、とか、もっとちゃんと味わって食えばよかった、とかいろいろ思いたかったがそんな暇はない。
 なぜなら、目の前にいる純白シスターさんも美琴の話を一緒に聞いているのだから。


禁書「へー。私がこもえやあいさやまいかやいつわに普通のご飯を食べさせてもらっている間、とうまは美味しい牛肉が乗ったごはんを食べていたんだね」

上条「だからそんなには美味しくはなかったって! つーか、テメェさっきひもじいとか言ってたよな!? なにさらっと昼晩朝昼全部ごちそうになってんだ! ぜってえそっちの料理のほうが一〇〇倍うめえよ俺が食ったヤツより!」


 上条の怒涛のツッコミが病室へ響き渡った。
 先程名前の上がった救いの女神様たちにはあとで死ぬほどお礼言わなきゃいけねえなコンチクショー、とか思っている上条のことなど気にせず、インデックスは犬歯を光らせる。
 

禁書「とりあえず、一回とうまにはお仕置きをしておいたほうがいいかも」

上条「テメェさっきのお涙頂戴的な感動の再会シーンのときの感じはどこいった!? お菓子が入った缶切れ一つと、たった一杯のぼったくり牛丼でこんなに態度が変わんのかよ!?」

禁書「それとこれとは話が別かも」


 そう言ってインデックスはじりじりと距離を詰めてくる。


上条「ちょ、ちょっと待てインデックス! 御坂がさっき騒ぐなって言ってただろ?」

禁書「大丈夫。私は一言たりとも声は出さないんだよ」

上条「そりゃそうだ、お前は噛み付いてんだからな!」

美琴「じゃ、そろそろ私は行くわね」


 見捨てるかのように美琴がドアに向かって歩を進めていた。
 

上条「待て御坂! 助けてくれ! このままじゃインデックスに頭蓋骨粉砕されて集中治療室送りにされちまうッ!」

美琴「ま、私じゃどうしようもないからせいぜい頑張りなさい? あっ、そうだ」


 美琴が面白いことを思い出したかのようにニヤリと笑う。


美琴「たぶん、このあとこわーい顔した風紀委員(ジャッジメント)の二人が来ると思うから、楽しみにしときなさい♪」

上条「げっ、マジ?」


 だらりと嫌な汗が流れる。
 明日退院できる可能性のパーセンテージが急速にゼロへ向かって急降下していくのがわかった。





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