797: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:28:13.39 ID:7SptLiMdo
一方通行「結標はどォなったンだ? アイツは助かったのか?」
白い少年の真っ赤な瞳が土御門を見つめる。
それに対して土御門は、
土御門「結標は無事だ。オレたちグループが保護した。今のお前と同じくここへ入院しているよ」
ニヤリと笑ってそう答えた。
一方通行「そォか」
一方通行は呟き、視線を下へと落とした。
ひとまず彼女の安全が確認できたことで、安堵しているのか軽く息を吐いた。
しかし、彼の表情の中には疑問のような色が残る。
その疑問を察したように土御門が、
土御門「あのとき、お前の意識がない間に何があったのか……聞きたいか?」
一方通行「…………」
土御門が言うように、たしかに一方通行はあの現場での記憶が途中から消えていた。
気付いたら病院で寝ていたとか、そんな感じだ。
一方通行「……そォだな。ま、どォせ聞いたところで、ロクな答えなンざ返ってこねェだろォがな」
馬鹿にしたように口角を上げる。
どうせ敵にぶん殴られて無様に気絶したとか、そんな答えが返ってくるのだろう。
しかし、土御門から返ってくる言葉をそうではなかった。
土御門「お前は能力を暴走させていた。自分の意識を飛ばしてまでな」
一方通行「暴走?」
土御門「ああ。背中から黒い翼が出現して、目に見えない何かのチカラを操って佐久を殺そうとしていた」
一方通行「黒い翼だァ? ハッ、くっだらねェ。どっかのメルヘン馬鹿じゃねェンだからよォ。そンなモンが俺から出てくるわけねェだろォが」
一方通行は鼻で笑った。
彼の能力はあくまでベクトル操作。力の向きを変えるだけのチカラ。
そんな黒い翼などというファンタジーのようなものを生やしたり、念動力の真似事のようなことなどできやしない。
適当なことを言ってからかっているのだろう、と一方通行は信じなかった。
しかし、
土御門「…………」
土御門は至って真面目な顔をしていた。サングラスの奥の瞳がこちらを見据えている。
冗談を言っているような雰囲気が、欠片も見られない。
一方通行「……チッ、俺も随分と化け物らしくなってきたじゃねェかよ」
一方通行は舌打ちした。本当にくだらないモノを見たときのように。
これ以上、この話を広げても無駄だろう。そう思った一方通行は話題を変える。
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