結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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796: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/22(土) 18:27:36.83 ID:7SptLiMdo


S11.未知の世界へ


 一方通行はゆっくりと目を開ける。去年の秋頃に嫌というほど見た天井がそこにあった。
 
 
一方通行(……病院だァ?)


 彼は今、とある病院内にある病室のベッドの上にいた。
 入院着に着替えさせられていることから、現在入院中なのだろう。
 辺りを見回すと、他にはベッドがない。個室だ。
 こんなクソ野郎と同室になりたいなどという奇特なヤツは居ないから当然か、と一方通行は鼻で笑った。
 
 窓の外を見る。太陽の位置からして昼過ぎといったところか。
 いつもならこのまま昼寝を続行しようと思うような時間帯だが、そんな気分には到底なれなかった。
 なぜなら、自分が今どういう状況に置かれているのか、まったく理解できていないからだ。
 
 ガララ、と病室の引き戸を開く音が聞こえた。誰かが入ってきたようだ。
 一方通行は寝転んだまま視線を入り口の方へ動かした。


土御門「よぉーす、アクセラちゃーん。元気ー?」

一方通行「……土御門か」


 クラスメイトであり、暗部組織『グループ』のリーダーでもある土御門がニヤニヤしながら歩いてくる。


土御門「ほい、これお見舞い。なに買えば喜ぶのかわからんかったから、適当に缶コーヒー買ってきたぜよ」


 そう言ってベッドの横に置いてあるテーブルへ、大量の缶コーヒーが入ったビニール袋を乱雑に置いた。


一方通行「チッ、ンなモンどォでもイイ」


 吐き捨てるように言って、一方通行は上半身を起こした。
 そして、目の前の少年に問いかける。
 

一方通行「教えろ。わかっていること全部。今どォいう状況だ? 一体どォなってンだ?」

土御門「…………」


 先程まで呑気で飄々としていた土御門の表情が変わった。冷静な暗部の土御門へと。
 病室に置いてあった丸椅子に座り、ゆっくりと口を開ける。


土御門「……さて、何から話そうか」

一方通行「今はいつだ?」


 間髪入れずに聞いた。
 
 
土御門「四月六日の午後三時過ぎだ。あの件から半日近い時間が経過しているということになるな」

一方通行「半日、か……」


 いつもの自分なら平常時の睡眠時間だな、と笑って流すところだが今は違う。
 結標淡希を取り戻すために少年院へ侵入してから一一時間強経過しているのだ。
 つまり、それだけの時間、現場を放棄していたということになる。
 だから、一方通行はすぐにそれを聞く。





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